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ミラン・クンデラ「誰も笑わないだろう」(22)

「教えてくれよ、どうやって」
「来るわ、わたしを捜しにここへ、あなたのところへ」
「誰もここに入(い)れやしないよ」
「じゃあ、どうするの? あの人たちがわたしのところに警察を寄越したら。
どうするの? あなたを痛い目に遭わせて、わたしが誰なのか、あなたから聞き出そうとしたら。
奥さんは裁判のことを言ってたわ、わたしのことをご主人を侮辱したかどで訴えると」
「おいおい、お笑い草だね。だって、それって、何もかも冗談で、おふざけだったじゃないか」
「現代は、おふざけの時代なんかじゃないわ、現代では、すべてが真剣に取られるのよ。
わたしが故意にあの人の名誉を汚そうとしたと、彼らは言うでしょう。
あの人を見て、いったい、彼が本当に女性にセクハラしかねないだなんて信じるかしら?」

(チェコ語勉強会は、半年間は主催者が変わり、以前より参加者が増えた。おもには、オタ・パヴェル「賢い目のウサギたち」(『美しい鹿の死』所収)を読み、30分べつに時間を取って、引き続き「誰も笑わないだろう」を読む。同じチェコ語といえど、まったく違う。)
by boyo1967 | 2014-09-20 21:40 | チェコ・中欧・スラヴ | Comments(0)