人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ボリショイ・バレエ日本公演2014「ラ・バヤデール」(東京文化会館)

ボリショイ・バレエ日本公演2014「ラ・バヤデール」(東京文化会館)を見に行った。

なんの予習もせずに行ったけど、「ラ・バヤデール」はフランス語で「舞姫」の意らしい。
ロシア語タイトルは「バヤデルカ」とのこと(いかにもロシア語ぽい)。

結論からいうと、退屈な瞬間が、一瞬たりともなかった。

序曲冒頭からの、ボリショイ劇場管弦楽団の華やかな音に引き込まれる。
(繊細な、とか、一糸乱れぬ、とかいう演奏ではなかったけど、バレエに「仕えている」…いい意味で…演奏だった。
三拍子の音楽の「二」で、ダンサーが、ふわ、と飛翔すると、「三」と着地のタイミングがピタリと合う凄さ。)

幕が開くと、バレリーナは歩くだけでひざから下と足の甲がしなやかにしなって、もうそれだけで魅せられてしまう。
こんなに、しなる脚って、あったかなぁ…ロシアバレエ独特なんだろうか(バレエって股関節が肝かと思っていたが、それだけじゃないのね)。

ニキヤ、ソロル、ガムザッティそれぞれの踊りやペアの踊りもすばらしかったし、二幕の太鼓の踊りや黄金の仏像の踊りのすばらしさは信じられないほどだった(プルシェンコみたいな人が出てくるわけだ…)。


(2007年のイワン・ワシリーエフの動画を貼っておきます。
まったく、どんだけ跳ぶねん…。)

「太鼓の踊り」も(まったく、どんだけ脚上がるねん…)。


で、三幕、次々と白いチュチュを着けたバレリーナが出てくるのだけど、これ、見たことがある…東京バレエ団の祝祭ガラで見た。
あのときは、「まだ出てくるのか、まだ出てくるのか」と、延々と出てくるバレリーナにちょっと退屈した覚えがあるのだが、青い光のなか、あの優雅な脚のしなりで出てくる白いチュチュのバレリーナたちがとても幻想的で、「ああ、これは、この世ならぬ世界なのだ」と理解できた(「影の王国」)。
もしかしたら、3階席で、上から舞台全体を見下ろすことになったのが、よかったのかもしれないが。

個人的な感想だけど、東京文化会館約2300席、フェスティバルホール約2500席で、ほぼ規模は同じだけど、東京文化会館は見やすい気がする。
(東京文化会館はこの12月まで半年ほど改築工事で休館していたが、2ちゃんねるのボリショイ・バレエスレッドでは、「相変わらずエレベーターもないし、いったいどこが変わったのか?」と、ちょっとした話題になっていた。耐震改修工事だったのかな。
そういえば、3階席からすぐの、客席の内側の壁の装飾物には、けっこう長年と思われるホコリが積もっていた…。)
ボリショイ・バレエ日本公演2014「ラ・バヤデール」(東京文化会館)_f0008729_184245.jpg


子役で、日本人の子どもたちが出ていたけど、男の子に扮した子たちはバレエ的な動きが身についているのはわたしの見たところ1人ぐらい、女の子役の子たちは、がんばっていた。
ロシアの子どもであれば、もっと違っていたのだろうか。
子どもまで連れて来日してツアーをするのは無理なことであったろうが、「ロシアバレエの身体」が何歳ぐらいで身につくものか、ちょっと見てみたかった気もする。

黄金の仏像があまりによかったので、幕間に、パネルと撮影。
ボリショイ・バレエ日本公演2014「ラ・バヤデール」(東京文化会館)_f0008729_17545711.jpg


このあいだ映画で見た、フランス・パリオペラ座バレエの(クラシックバレエのテクニックの上に立つ)リアルなドラマの表現もいいけど、ボリショイ・バレエの、様式的なストーリーに踊りをてんこ盛り、もいい。
話は様式的でありながら、最高水準の技術によって、結局はリアルなドラマと同じくらいに人間の世界が表現できるのは、オペラや歌舞伎に通じているように思う。

原振付:マリウス・プティパ
音楽:ルートヴィヒ・ミンクス(レオン・ミンクス)
指揮:パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽:ボリショイ劇場管弦楽団

ニキヤ(寺院の舞姫):エカテリーナ・クリサノワ(オリガ・スミルノワから変更)
ソロル(戦士、ニキヤの恋人):セミョーン・チュージン
ドゥグマンタ(藩主):アレクセイ・ロパレーヴィチ
ガムザッティ(ドゥグマンタの娘):アンナ・チホミロワ(クリサノワから変更)
大僧正:アンドレイ・シトニコフ
トロラグワ(戦士):イワン・アレクセーエフ
奴隷:デニス・ロヂキン
マグダヴェヤ:アントン・サーヴィチェフ
アイヤ(奴隷の娘):アンナ・バルコワ
ジャンベ(侍女)の踊り:ユリア・ルンキナ、スヴェトラーナ・パヴロワ
by boyo1967 | 2014-12-04 23:43 | 映画・演劇・舞台 | Comments(0)