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「別れるのもやさしさ」だと彼女は言った

いわゆる「男女関係のもつれ」からの死傷事件はめずらしいわけではないが、大阪府警の警察官が、復興支援先で知り合った交際相手を殺害したとして逮捕された事件は、現職の警察官ということに衝撃性があったためか、よりくわしく報道されているように感じる。

2015年1月27日付「朝日新聞」大阪本社版の夕刊では、
「「いい人」警官既婚と知らず」
という見出しで、「おおよそ『別れるなら職場や奥さんにバラす』と言われての事件だろう」という一般的な見方を、くつがえす被害者像が報じられている。

「大阪市内の病院で同僚だった女性は、こう振り返る」
「2013年5月、(宮城県の福祉系の大学生だった被害者が)イベントで出会ったのが、大阪府警から宮城県警へ復興支援のために出向していたM〔記事では実名〕容疑者(26)だった。
交際は続いたが、M容疑者は1年間の出向が終わり、昨年4月に大阪府警に復帰する。一方でSさん〔記事では実名〕も(中略)同じ昨年4月に(就職で)大阪に移った」

(「イベント」って、「復興イベント」かと思いきや、毎日新聞によると「出会いイベント『街コン』」だというではないか!)

被害者は、同僚にこう話していたという(「 」はSさんまたはM容疑者の言葉とされるもの、『 』は地の文)。

◎2014年
春の歓迎会で「彼氏がいる。警察官」「追っかけてきたと思われてしまうから、彼がいるとは言いたくなかった」。
その後「会えない」「メールしてもなかなか返ってこない」「仕事や剣道に打ち込んでいるから」。
6月ごろ『何度も別れ話を切り出していたという』『M容疑者はそのたびに「努力する」「このままでいたい」と繰り返したという』
8月『(M容疑者、)別の女性(26)と結婚』
クリスマスイブ『同僚は予定のなかったSさんと食事に行った。そこでも不満を口にし、別れたいと伝えたと漏らした』
後日『「お前はオレから離れられない。めちゃくちゃ好きやろ?」と言われて、別れられなかった、と聞かされた。(中略)「彼みたいないい人はいない」』

◎2015年
1月「Sさんは初めてM容疑者が既婚者であったことを知ったという。(中略)(同僚は)Sさんから話を聞けないまま、事件は起きた」

ただ…女性が、「同僚」に自分の恋愛話の本当のところを話すとは限らないので…たとえば、「追っかけてきたのではない」というのは、大学出たての元気のいいころなら、虚勢、というほどではないけど、実際はそうでないのに、そう言うこともあるだろうし、既婚者との恋愛は、それに反感を持ちそうな相手には伏せがちだ(Sさんがそうだと言うのではない。一般論として)。

だから、Sさんが「同僚」に話していたことがどれだけ事実かどうかわからないのに、それを基にこれだけ大きく報じるのは危ういなぁとも思うのだが、いずれにせよ、大学出たての若さで、故郷から離れた土地で就職をして新生活を始めて、ままならない恋愛に悩んで、それだけでも大変なことなのに、東日本大震災では無事だった命を、あたら奪われたというのは、かわいそうでならない。

【追記】
別の新聞の記事によると、さらにヒドイ話で(「読売オンライン」2015年1月28日)。
〈大学時代の2013年5月頃から交際し、東日本大震災の特別出向を終えて昨春、大阪に戻ったM容疑者との関係を悩んでいたという。住所を教えられず、数か月に1回しか会えなかったためだ。

 昨春以降、Sさんは少なくとも3回別れを切り出したが、M容疑者は「俺のことが好きやから別れられへんやろ」などと応じず、一方で、昨年8月に別の女性と婚姻届を提出。Sさんは、M容疑者が今年1月12日に式を挙げた直後、式の写真をインターネット交流サイトで見つけ、既婚者と知った。落ち込んでいたが、翌13日のフェイスブックにこう書き込んでいた。

 「はっきりしたし、これで堂々と前向けるわ~」〉

(かわいそうといえば、M容疑者の新妻も。入籍から半年足らず、挙式から2週間足らずで、こんな事態に。
憶測するに、「出向から帰ってきたら結婚しよう」という流れではなかったかと思うし、今年の年賀状は「結婚しました」というものだったろうし。)

まぁ…東日本大震災にかぎらず、長期出張先でのlove affairって、聞く話で。

あるSNSで、外国でのそのあれやこれやを写真で披瀝する男性(既婚)がおり、その日本への帰国が迫って、彼はいったいどうするのか(というか、帰国したら続くはずもないだろうに、と)見物人が興味津々になっていたころ、わたしのある友人が
「別れてあげるのもやさしさやで」
とコメントしていて、けだしその通り、と思った。
結局は、帰国後も1年に1〜2回はその国を訪れて、楽しい時間を過ごしているようである。

この「別れない神経」、ホント理解できない。

「同僚」が聞いた話が本当であれば、別れ話を切り出されたならば、結婚を翌々月に控えたM容疑者には「渡りに船」だったろうに、なぜ別れなかったのか?
毎日新聞によると、殺害後に、M容疑者は「Sさんの部屋に置いていた自分の衣類などを持ち出した」と供述しているとのことで、それなら、「会えない」とか「Sさんが何度も別れ話を切り出していた」というのとは食い違っているようにも思う…。

先般、「愛人騒動」で騒がれた岡田斗司夫…彼の朝日新聞beでの人生相談は、その明快な回答を愛読しているけど…は、男は「自分の感情を見つめる能力」が低いと語っているそうである。
引用元の本を読んでおらず、孫引きになるけど、引いておく。
「自分の心の中にわき起こる小さい感情の波をできるだけ見ないようにする。無視して理性的に行動しようとする姿勢が、“男性的”と呼ばれる行動の本質なのです」(『フロン─結婚生活・19の絶対法則』幻冬舎文庫)

なるほど、岡田斗司夫の人生相談の回答は、たいてい、相談者が取りうる道を冷静にいくつか挙げて、その損得を説明して、なかでもこれを取るのがよい、というものが多いが、感情を見ずに理性的だからこそ、そういう回答ができるのだろう。

その岡田斗司夫が挙げる、「愛人を持つ」側(男女を問わず)の体質や特徴は、以下のとおり。

1)恋愛程度では自分の人生がゆるがない「仕事人間」である。
2)妻にも愛人にも友人にも、心の底は出さない・出せない。
3)やりたいことは全部やる、欲張りである。
by boyo1967 | 2015-01-27 23:08 | Comments(0)