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レキプ・ド・ヴァン(第104回):ドメーヌ・ボーペイサージュ

ワインガーデン・リブゴーシュで、毎月第3金曜日に開かれる「レキプ・ド・ヴァン」、今月のテーマは、山梨のワイナリー「ドメーヌ・ボーペイサージュ」。
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リブゴーシュで扱うワインというと、イタリア、フランス、南アフリカ、カリフォルニアでほとんど占められているが、しかし、最近、日本のワインもかなりいいものができているとのことで、中でも店長の一押しのつくり手が、この「ドメーヌ・ボーペイサージュ」だという。
1998年に岡本英史さんが、山梨県須玉町津金で始めたワイナリー。
「ボーペイサージュ」は、フランス語で「美しい風景」の意(発音は正しくは「ボーペイ『ザ』ージュ」だそうだが)。



さて、「ドメーヌ」とは、フランス・ブルゴーニュにおいて、「自家栽培のブドウで醸造・瓶詰めする生産者」のこと。
「ドメーヌ」に対して「ネゴシアン」は、買い入れたブドウでワインを造ったり、ほかの生産者がつくったワインを買ってきて瓶詰めしたりするものだが、ネゴシアン自身が、自社所有の畑でブドウを栽培し、醸造・瓶詰めする、ドメーヌ・ワインをつくることもあるそうだ。
同じフランスでも、ボルドーになると、「ドメーヌ」とは言わず、「シャトー」という。

「ドメーヌ」を名乗っているということは、この岡本さん、ブルゴーニュ的なワインづくりを志向しているのだろう。
実際、いただいたのは、単一ブドウ品種によるワインばかりだった(大ざっぱにいうと、ブルゴーニュでは白ワインはシャルドネ、赤ワインはピノ・ノワールの単一ブドウ品種によるワインで、ボルドーはカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルローなどのブレンドの妙を楽しむワイン、ということになる)。

以上、自分のための復習。

店長によると、このドメーヌの魅力は、「自然派であること」。
ブドウも減農薬・有機栽培、酵母は野生酵母、醸造時には酸化防止剤(二酸化イオウ)を添加しない(瓶詰め時に少量添加)。
ブドウを減農薬・有機栽培でつくることだけでも、手間がかかるだろうと容易に想像できるが、さらに、醸造時に酸化防止剤も入れなければ、醸造過程のコントロールがむずかしくなり、おそらく、醸造の際には徹夜続きになっているのではないか、とのこと。

そこまでして、風土と文化の垣根を乗り越えて、ブドウと酵母のポテンシャルを最大限に引き出そうとするとは…すごい(だって考えてみてください、コメの栽培適地とはいえないだろうハワイでコメづくりから手がけて、日本酒を不眠不休でつくっているアメリカ人がいたとしたら、「そりゃすごいけど、でも、なぜに?」と言われると思う。というか、まず、自分自身に「なぜ」と問うだろう)。

いただいたのは、以下の6本(しかし…6本目の記憶がまったくない!)
1)2006 津金シャルドネ(3500円=ボーペイサージュでの販売価格。以下同様)
2)2006 津金シャルドネ LIB(3500円)
3)2006 津金シャルドネ LIB naked(樽熟成なし)(2900円)
4)2006 津金ラ・モンターニュ(メルロー100%) LIB(3600円)
5)2006 津金ラ・モンターニュ(メルロー100%)(3600円)
6)2005 津金ラ・モンターニュ(メルロー100%) (4000円)

「LIB」というのは、瓶詰め時の酸化防止剤添加もしていない、酸化防止剤無添加のワインに付けた名称。「let it be」から来ている。

1)のシャルドネをいただいて、まず驚いた。
日本のワインって、けっこういいお値段でも、
「うーん、悪くはないけど、この値段ならフランスかイタリアを買うなぁ」
と思ってしまうものが多いけど、これは、香り・味ともにまったく遜色なし。
こんなワインが、ブドウづくりも含めて日本で…これはすごい。

2)は、店長曰く、酸化防止剤無添加なので、開けるとすぐに酸化が始まっていっている、とのこと。
LIBシリーズに限らず、ボーペイサージュのワインは、どれもとてもデリケートで、保存状態に味がものすごく左右されてしまうみたいだ。
だから、うちのように専用セラーをもたず、冷蔵庫で保管するような家庭には、正直、向かないワインだなと思う。
今日は、店長がきちんと保管して、いい状態で供してくれたので、とてもおいしくいただけた。

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揚羽蝶は、岡本さんの家紋だそう。

もひとつ受け売りの豆知識。
4)〜6)のワインは「ラ・モンターニュ(山)」と名づけられているが、このドメーヌにはほかに「ル・ヴァン(風)」、「ル・ボワ(林)」、「ル・フー(火)」があり、4つ合わせると、山梨ゆかりの武田信玄「風林火山」となるそうだ(「ラ・モンターニュ」以外はほとんど入手困難とのこと)。LIBといい、こういう言葉遊びが好き?

ミヤザキさんのお料理もおいしかった…。
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by boyo1967 | 2008-05-16 23:26 | うまいもの | Comments(0)