「優雅な生活こそ最高の復讐である」
書籍でも、ときどき引用されることのある言葉である。
過酷な運命に見舞われても(安井かずみの場合は、病気)、それに負けず、優雅な生活を送ることこそが、その過酷な運命への最高の復讐だ、というのである(検索したかぎりでは、「優雅な生活が」が一般的なようだが、「優雅な生活こそ」のほうがわたしは好きだ)。
たいてい「スペインのことわざ」と説明されているが、その元のことわざが気になっていた。
元の、といっても、スペイン語を知らないので、原語のことわざを知ったところでチンプンカンプンなわけだが(そういえばチェコ語では、「チンプンカンプン」のことを「スペインの村(je to pro me spanelska vesnice)」と言うのであった)、スペイン語の言い回しが知りたかった。
どうやら、『華麗なるギャツビー(グレート・ギャツビー)』で知られるフィッツジェラルドの友人で、同『夜はやさし』のモデル、マーフィ夫妻の言葉だということで、マーフィ夫妻の交友関係を描いた、カルヴィン・トムキンズのノンフィクションのタイトルにもなっている(原題:Living Well is the Best Revenge/邦題『優雅な生活が最高の復讐である』新潮文庫)。
さらに検索していると、Ralph Keyes氏の"The Quote Verifier: Who Said What, Where, and When"(引用の検証―だれが、何を、どこで、いつ言ったのか)という本がヒットした。
"LIVING well is the best revenge." This was title of Calvin Tomkins's 1971 biography of Gerald and Sara Murphy, who made that saying their credo. Gerald thought it was a Spanish proverb. Friends of Scott and Zelda Fitzgerald, the Murphys were the model for Dick and Nicole Diver in Tender Is the Night. Scott and Zelda themselves are sometimes thought to have been the source of the Murphy' motto. In fact, these exact words are proverb no. 524 in George Herbert's 1640 publication Outlandish Proverbs. Herbert may have been inspired by John Lyly's earlier aphorism "The greatest harm that you can do unto the envious, is to do well."
Verdict: Credit Lyly and Herbert as source, the Murphys as modern publicists.
「よく生きることこそ最高の復讐である」。これは、カルヴィン・トムキンズの1971年刊、ジェラルドとセーラのマーフィ夫妻の伝記のタイトルであり、マーフィはこの言葉を信条としていた。
ジェラルドはこれを、スペインのことわざだと思っていた。
スコットとゼルダのフィッツジェラルド夫妻の友人であったマーフィ夫妻は、『夜はやさし』のディックとニコルのダイバー夫妻のモデルであった。
スコットとゼルダ自身が、このマーフィのモットーの源になっていると考えられることもある。
実のところ、正確な言葉は、ジョージ・ハーバートの1640年の出版物『外国のことわざ』の524番のことわざである。
ハーバートは、それ以前の、ジョン・リリーによる格言「嫉妬に対して為すことのできる最大の災いは、よく生きることである」に触発された可能性がある。
判定:著作権表示は、出典としてはリリーとハーバート、現代の広報担当としてマーフィ夫妻。」

